Interview
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2023-11-03

植物園の管理ってなにするの? | 小石川植物祭 2023 #1

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文京区にある東京大学大学院理学系研究科附属植物園、「小石川植物園」は植物学の研究・教育を目的としている東京大学の附属施設です。日本でもっとも古い植物園であるだけでなく、日本の近代植物学発祥の地でもあり、現在も自然誌を中心とした植物学の研究・教育の場となっています1

2023年11月3日(金)〜5日(日)に開催される小石川植物祭にむけて、Dear Tree Projectでは植物園で管理を行う技術職員の方や研究活動を行う研究者の方にインタビューを行いました。

小石川植物園は他の植物園と何が違うのでしょうか?今回は、研究教育施設としての小石川植物園の管理に関わる技術職員の田中さんに、お話を伺いました。

1. 「植物園の概要」(https://koishikawa-bg.jp/overview/)

── 小石川植物園はどんなところでしょうか?

小石川植物園は研究教育施設なので、園芸品種を売り出しているような植物園と比較すると、華やかではないかもしれないです。精子発見のイチョウとかニュートンのリンゴの木があったりとか学術的に重要な木があるのは分かっていたんですけれど、着任当初の印象としては結構地味だなっていうのが正直なところありました。

── 普段はどんな作業をしているのでしょうか?

僕がいる育成部という部署では、7人の常勤と非常勤5人で業務を行っています。植物の栽培管理(育成)と園内整備が主な業務になります。研究教育に必要な植物を導入しそれを管理するというのは、大きな流れの一つかなと思います。その植物が貴重なものだったりするので、結果的に絶滅危惧種の保全に繋がっているということはあります。

入園料を取って一般の方にも公開しているので、見せるものは見せる、貴重なものに関してはしっかりと絶やさずに管理していくということを目標にしています。

バックヤードでは植物の植替え作業であったり、個体を消失させないための挿し木や株分けを行い、公開部分では木の剪定や草刈り等の整備を主に行っています。

── お仕事は一年の中で変化したりしますか?

作業内容は時期によって変わります。夏の暑いときには植物のダメージが大きいので、春や秋のタイミングで植替えを行ったりします。盛夏期は植物の成長も早いので草刈りの頻度が高く、秋から春にかけては植物の成長も緩やかなので、剪定したり、樹形を整えることをしています。ほかにも時期によっては個体を維持するために、挿し木や株分け等をしていたりします。昨日の休園日には乗用草刈り機に乗っていました。

── 毎日行っている作業はありますか?

人間って1日何かを食べなかったらすぐお腹がすく、変化がわかりやすいと思うんです。

植物は変化がすぐ表れるかというと、そうでもないものも多かったりするので、普段から観察する意識は大切だと思います。エリアや特定の植物に対して担当者がいて管理方法はそれぞれ異なりますが、僕は1つのものに集中するというよりはいろいろなところ(場所や植物)を見るようにしています。

── 園内の植物を網羅的に見て、管理しているんですか?

小笠原の植物でも木本があれば草本があったり、シダやランがあったりするので、日当たりや水分条件の違いなど、同じ地域の植物だとしても生育スタイルが違ったりします。様子を見るのは見るんですけど、毎日なにか手を加えるというよりは必要なタイミングで必要な作業をしていくような感じです。調子が悪いと気づいたときには手遅れだったというようなこともあり、いろいろ失敗もしています。

挿し木であっても、発根しやすいものとしづらいものがあります。播種してもなかなか芽が出ないものもあるので条件を変えたりしながら積み重ねていくんですけど、一度成功したのに、次はうまくいかないということも普通で、試行錯誤することも多いです。

農作物とか園芸品種だとこうやったらこういう育ち方をする、といった知識や技術が確立されているのですが、野生植物を扱う機会が多く、手探りで積み重ねていかなければならない部分も多くあります。

── 試行錯誤のデータ等はストックされて、次の担当者の方に引き継がれるような仕組みはあるのでしょうか?

植物のデータや栽培技術を次の世代に伝えていくということは、多くの植物園で課題となっています。どうやって引き継いでいくのかという組織や体制の課題はあります。

── 植物ごとの管理の優先順位づけはあるんでしょうか?

園内で植栽されている植物を大きく変化させることは現時点でありません。鉢管理の植物に関しては、研究資料としての植物とそれ以外でもちろん、予算や人的なリソースの問題から管理の優先順位をつけることはあります。ただ、特に貴重に扱っていなかった植物がいきなり研究対象になることもあるんです。研究室では虫と植物との共生を扱っているので、特に気にかけていなかった植物がいきなり研究対象になったりします。イヌビワやオオシマコバンノキなどもその一例です。

── 育成部と研究部ではどのような役割分担や連携がなされているのでしょうか?

研究対象の植物を調査などで導入すると、管理するのは育成部の役割です。研究部は調査や実験に集中してもらえるようにしています。例えば小笠原のムニンタツナミソウみたいに、元々保有していたものが研究対象になり、そこから現地調査に向かうということもあります。

── 作業の時間や人材が限られる中で、園内の植物の維持する・維持しないのような判断はどのように行われているのでしょうか?

育成部の立場では生きた植物(リビングコレクション)を維持することが植物園の価値を上げていくことだと思っています。例えば、同じ植物でも、由来(自生地情報)がわかる植物の方が保有する価値が高くなります。なので、同じ植物が園内に十分にある場合は由来のわからないものよりも、分かるものを優先的残すようにしています。

先日、タイサンボクが倒れたんですけど、大きな木が倒れたことによって生じたギャップに新しい植物が侵入してきます。例えば、植物園内で手をつけるエリアと手つかずのエリアに分けて、手を加える場所と遷移を見守る場所を作るという案も出てきたりしています。ただ、植物園は国の史跡名勝に指定されているので、掘削など大きな変化を伴う作業等は保存活用計画に沿った形で進めなければなりません。

── 少し話題がいままでと異なりますが、植物園で働くというのは珍しいお仕事かと思います。田中さんご自身はどういったきっかけがあったのでしょうか?

大学(農学部)のときに、一緒に山を歩いた先輩が高山植物の名前を教えてくれながら歩いていく姿をかっこいいと思いました。いろんな植物を知りたい、植物に携わる仕事をしたいと思ったのがきっかけです。国立大学法人等職員採用試験に合格し、2006年から勤務しています。

── 今回の植物祭は、小石川植物園にとっても新たな取り組みだと思います。期待することやこうなったらいいなという風景はありますか?

昨年の小石川植物祭の時に「(植物園が)こんなに開かれることはないと思っていた」という声を聞きました。僕としては全く“閉ざされている”という意識がなかったので、植物園の中と外では感覚がぜんぜん違うんだなと感じました。そのギャップを解消するためというわけではないですが、小石川植物祭に向けての採集会の時など、植物を通してたくさん対話させてもらっています。その過程で普段見ないところを見るようになりました。例えばこれまでは花しか見ていなかったものが、「実はいつなるんですか?」と聞かれたり、新たな視点で植物を見る機会になって僕としてもすごく良い機会だと思いました。やはり、植物園とまちの人のギャップが埋まるといいなと思っています。公園とは違って研究教育施設として閉じているように見えるけど、実はそうではないんだよっていう。

── ありがとうございました!

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小石川植物祭 2023

Koishikawa Botanical Festival 2023

「植物」と考える、まちのこれから。

都市の真ん中にひっそりとある「小石川植物園」。300年以上にわたる歴史を持つこの植物園は、東京大学大学院理学系研究科附属植物園として、長年、植物学の研究、教育の場として大きな役割を担い、また地域の人たちの憩いの場としてもひらかれてきました。そんな歴史ある植物園で、2022年から建築家ユニットKASAによって起案され、小石川植物園と共同でスタートした「小石川植物祭」。2023年は「命名」をテーマに、2023年11月3日〜5日に開催。Dear Tree Projectでは、あなたと植物をつなぐためのみどりの標本「グリーン・コレクション」を作るプラットフォームを制作しました。

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