
そういえば、街に生えている木々たちは、その役目を終えた後どうなっているのだろう。ふと何気なく横目で通り過ぎていた木が、いつの間にか伐採されてなくなってしまったという光景を、都市に住んでいる人なら何度か経験したことがあるのではないでしょうか。
渋谷区には笹塚・幡ヶ谷・初台を結ぶ約3kmの緑道(玉川上水旧水路緑道)があります。現在緑道整備から30年近くが経過し、老朽化や防災の面から緑地化の再開発が行われようとしています。Dear Tree Projectでは、その役目を終えて伐採された木を生かす取り組みを、2023年3月4日(土)〜5日(日)に渋谷キャストで行ったイベント「Invisivle Connections - まちのみどりとのいい関係 -」を通じて実施しました。

都市の伐採木をわたしたちはどう活かす?
今回のイベントでは、主に渋谷区の緑道で伐採された街路樹をDear Tree Projectで引き取り、バイオネストとして作る取り組みを行いました。(渋谷区と共に行っている、伐採木のアーカイブプロジェクトについてはコチラ)
基本的に、伐採木は保管場所の関係や活用方法が定まっていないため、大部分が廃棄されてしまうのが現状。そこで、今回は実際の伐採現場にDear Tree Projectとして立ち会い、その場で使用する枝を選定し譲ってもらうという方法で一部の木を活用することを試みました。


伐採木や剪定枝で作る、バイオネストとは?
今回は、これらの伐採木を活用し「バイオネスト」を作るワークショップを開催しました。「Bio nest」のBioは、ギリシャ語のbiosから来た言葉で生命体を意味し、nestは鳥や昆虫の巣を意味します。
バイオネストにはさまざまなメリットがあり、カブトムシやコガネムシの幼虫の棲家となり生態系の多様性を高めたり、ゴミとして捨てていた落ち葉などを堆肥として受け入れる場所にもなります。また、不要になった場合は時間と共にそのまま自然に土にかえっていきます。その土地で出たものをその土地で循環し活用していく、注目のナチュラル・コンポストです。
作り方はシンプルで、一度作り方を覚えてしまえば、自分のお庭やそれぞれの地域でも個人レベルでできるという点でも、今回のワークショップの題材として選びました。講師には、株式会社Q-GARDEN代表の小島理恵氏を迎え、渋谷キャストの広場で一般参加型のワークショップを行いました。

まずは、まちを歩いてみどりを知る
ワークショップ当日は、まずは渋谷キャストを飛び出し、まちのみどりを知る「グリーン・ウォークスルー」からスタート。Dear Treeでは、スタディ・キットとして、まちの葉っぱを集めて自分だけのコレクションを作る「グリーン・コレクション・キット」を制作。当日は参加者一人一人にそれらを配布し、お気に入りの葉っぱや草花を集めることからまちのみどりに近づいてもらいました。
ルートは事前にDear Tree ProjectとCATsでリサーチをした、キャットストリートのみどりマップを下に、街のみどりを辿りました。



子どもから大人まで、夢中になって制作開始
ウォークスルーを終え、いよいよバイオネスト作り開始。まずは、枝の太さや長さをある程度仕分けをして作業しやすくします。その後、太い木で土台を作り、同じ方向に中くらいの枝を重ねていきます。ある程度丸い形が見えてきたら、その隙間に細い枝を差し込んでいきます。これを繰り返しながら全体のバランスをみて形を整えていきます。
枝を切る人、枝を運ぶ人、枝を差し込む人、全体のバランスを見る人、自然と子どもから大人までそれぞれの役割を見つけて黙々とバイオネストを作っていきます。最終的には膝の高さくらいになるまでを目指して作りました。


ふかふかの落ち葉のプールは、最高の遊び場
バイオネストの形が完成した後は、落ち葉を入れて完成です。少しずつ落ち葉を入れて、踏みならしていきます。これらの落ち葉は、約半年から1年かけてゆっくりゆっくり堆肥になっていきます。
バイオネストのメリットは、これまでゴミになっていた落ち葉をこのように活用できるところにもあります。また、ふかふかの落ち葉のプールは子どもたちにとっては最高の遊び場です。当日も、参加した子どもたちはワークショップが終わってもなかなかその場を離れようとしないなんていう一幕も。


伐採された木の元へ、バイオネストとしてお返しを
今回、制作した2つのバイオネスト。一つは、CATsが管理し、コンポスト作りをしている表参道のとあるお庭へ寄付、そしてもう一つは、今回伐採された渋谷区緑道のサクラの木のふもとへ、バイオネストとしてお返しすることができました。このエリアは、渋谷区の社会実験として市民主体でコミュニティ・ファームを運営している場所でもあります。今後は、このファームの運営チームがバイオネストを引き取り活用していきます。
今後も、このような形でまちの人と共に、街の木々を豊かに活用していく取り組みをDear Tree Projectで挑戦していきたいと思っています。


↓今回作成したグリーン・コレクション・キット (Designed by Sosuke Sugiura)


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ストリートで育てたリンゴでシードルを作ったり、地域の管理する市民が自ら植物を育てて花壇を彩ったり、普段歩いているだけでは気づかない、キャットストリートの見えない一面が見えてくる。
地域の植物で、地域の人たちが育てて、共生したり、使ったりする、ローカル・グリーンの循環は、世の中で大声で叫ばれる環境パフォーマンスなんかより、身近で、誰もが関わることができる日常的な行為のように思える。

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Invisible Connections
まちのみどりとのいい関係
「まちの中の見えないつながりを可視化する」ことをテーマに、渋谷のまちのみどりについて触れ、学べる体験プログラム。
気候変動や温暖化など地球の未来への大きな課題がうたわれる中、私たちの「まち」では何ができるでしょうか?これからのまちづくりや地域づくりにおいて大切な価値観は「人間以外も含めたまちづくり」の視点を持つことではないでしょうか?
今回の取り組みでは、その土地のみどりの資源を活用し循環させる方法を来場者と共に考え、学び合う場を提供します。