
都市の中で、みどりと出会い直す
「Dear Tree Project」は、都市にある“みどり”を記録し、活かしていく活動として、街路樹マップや伐採木のアーカイブ、学校教育や植物観察のワークショップなどを展開してきました。
都市に生きる私たちは、日々の中でどれほど自然を感じられているだろうか。そんな問いかけから始まった「GREEN WALKTHROUGH - 調布を“味わう”みどりのさんぽ -」。
Dear Tree Projectと調布PARCOがコラボレーションし、CHOOSE Sustainabilityキャンペーンの一環として実施されたこのプログラムは、調布のまちなかに点在する自然や農の営みに五感でふれるウォーキングツアー。まちと自然をめぐる約2時間の小さな旅に、多くの参加者が集まりました。

コレクションキットを手に、パルコから出発
集合場所は、調布駅前の調布PARCO屋外スペース。最初に渡されたのは、Dear Tree Projectがオリジナルで制作した「グリーン・コレクション・キット」。葉っぱを貼ったり、香りや名前を記録したりできるこのキットは、まちをただ通り過ぎるのではなく、“みどり”と個人的なつながりをつくるためのツールです。ツアーのはじまりにふさわしく、簡単な説明のあと一人一人がキットを手に出発しました。


布多天神社で、感覚をひらき神木にふれる
まず訪れたのは、地域の守り神・布多天神社。神社で呼吸を整え、軽いストレッチで五感をひらくところから、この日のまち歩きははじまります。文明9年(1477年)に現在地に遷座されたこの神社には、かつて樹齢500年を超えるご神木のケヤキが立っていました。2021年にその命を終えたあと、種子から苗木を育てるプロジェクトなども始まっています。境内に咲く花や保存樹を観察しながら、静かに自然と歴史を感じる時間となりました。


住宅街にひっそりと、子どもたちのおやつの木
住宅街を抜けて公園のそばを歩いていると、近所の子どもが元気に遊んでいる姿が。話を聞くと、どうやらこの公園には「グミの木」と呼ばれる、甘い実をつける木があるらしい。子どもたちはそれをおやつ代わりにしているという。木をのぞいてみると、枝にはもう実がひとつも残っていない。どうやら、子どもたちにすっかり食べられてしまったようです。


土地の味を求めて、江戸時代から続く彩季農園へ
住宅街を抜け、次に向かったのは調布の農園です。調布は、古くから湧水が豊富な土地で、ほんの50年〜60年前までは一帯に農地が広がっていました。駅からわずか数分歩くだけで、住宅の合間に農園や小さな直売所が姿を現すのも、この土地ならではの風景です。今でも地域に住む人たちにとって、日々の暮らしに寄り添う大切な存在となっています。
今回訪れたのは、江戸時代から7代続く「彩季農園」。案内してくださったのは、農大を卒業し、家族とともに農業に取り組む関森しずはさんと、そのおばあさま。おばあさまは、かつてから野川の環境保全活動にも携わってきた方で、この地域の自然を長年見守ってきました。

彩季農園では、家族それぞれが役割を分担しながら農業を営んでいます。おじいさま・お父さま・妹さんが野菜を担当し、おばあさまはハーブを、そしてお花好きのしずはさんは花の栽培を担当されています。農園には減農薬・無農薬のハーブや野菜が育ち、当日はマリゴールドなどのお花やミント、季節の野菜のお話を伺いながら、自家製ハーブティーの試飲やお手製の糠漬けの味見も体験させていただきました。


かつては野川沿いまで広がる大きな畑だったそうですが、近年は周囲にマンションが建ち並び、風の流れが変わったことで一部の作物が育たなくなり、やむなく畑を小さくしたといいます。都市の中で農業を続けることの難しさについてもお話を伺いました。特に、土地の相続時に畑が売られ、住宅が建ってしまうケースが多く、そうした風景の変化をここ数年でも実際に見てきたとのことでした。

それでも関森さんたちは、「この場所で、畑のある風景を守り続けていきたい」と力強く語ってくださいました。都市の中に残る貴重な農地と、それを支える家族の営みに触れる貴重な機会となりました。

野川の水辺で、香りと生きものを感じる
最後に訪れたのは、調布を流れる野川の水辺です。国分寺崖線の湧水を水源とする全長約20kmの一級河川で、縄文時代から人が暮らし、遺跡も数多く見つかっています。かつては水車や田んぼが広がる豊かな川でしたが、高度成長期には生活排水で汚れ、一時はドブ川と呼ばれるように。近年は行政の下水整備や地域住民・NPOの活動により清流を取り戻し、今では魚や鳥、昆虫などが生息する自然豊かな環境が復活しました。それぞれ思い思いに、川辺の草花を観察したり、水音に耳を澄ませたりすることで、自然と一体になる感覚を味わえました。


さいごは、自分だけの“みどりの記憶”を持ち帰る
締めくくりは、野川沿いでふりかえりとコレクションキットを完成させました。集めた葉っぱや感じたことをキットにまとめ、それぞれが「今日出会った自然」と対話する時間をもちました。最後は参加者全員で記念撮影をして、ツアーは幕を閉じました。



まちとみどりの、新しい関係を探して
今回のツアーでは、保存樹木、街路樹、農地、水辺と、都市に潜むさまざまな“みどり”にふれることができました。Dear Tree Projectでは、今後もこうした活動を通じて、都市と自然、人との新しい関係性を育む取り組みを続けていきます。
参加者の声
・毎日見ている木だが、葉っぱの形状や色合いまではちゃんと気にして見たことがなかったです。
・よくよく観察すると、樹皮の上にコケや地衣類などが生えていて、たとえ樹から剥がれ落ちた樹皮でも、それも「生きた緑」だと気づきました。
・昔、小さい頃によく集めては髪飾りや指輪を作って遊んだ植物を見つけ、久しぶりに触れたことでとても懐かしい気持ちになりました!
・自身の視点を少しずらしたり、注目するポイントがちょっと変わるだけで、「都市の中でもみどりと共に生きている」ことに気づかされ、ハッとしました!
・調布在住で、実は毎日通る道だったけど、気づいていない・見過ごしていることが、こんなにもたくさんあるなんて!
タイトル
テキスト

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ストリートで育てたリンゴでシードルを作ったり、地域の管理する市民が自ら植物を育てて花壇を彩ったり、普段歩いているだけでは気づかない、キャットストリートの見えない一面が見えてくる。
地域の植物で、地域の人たちが育てて、共生したり、使ったりする、ローカル・グリーンの循環は、世の中で大声で叫ばれる環境パフォーマンスなんかより、身近で、誰もが関わることができる日常的な行為のように思える。

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調布を“味わう”みどりのさんぽ
調布PARCO “CHOOSE Sustainability”
Dear Tree Projectでは、調布PARCOが地域と共に取り組む『CHOOSE Sustainability』キャンペーンとのコラボレーションとして、まちのみどりを巡るグリーンウォークスルーを開催しました。寺社、公園、都市農園、水辺など、調布に点在する「まちなかのみどり」や「地域の営み」にふれながら、五感を通してまちと自然のつながりを再発見します。今回は、江戸時代から7代続く調布の農家「彩季農園」さんにもお邪魔し、都市の中に農のある暮らし方や、そこでそだてているハーブティーの試飲会、そして作物の試食なども行いました。