茨城県の南西部に位置するつくば市。北部には、古来より神の山として信仰されてきた筑波山を擁し、その周辺の大部分は関東ローム層に覆われた平坦な地形が特徴である。その地形を活かし、現在でも水稲栽培などが盛んに行われている。1960年代には、研究学園都市の建設がスタートし、科学万博が行われるなど今日でも大学や研究機関が数多く存在するまちだ。
一方で、都市の発展や産業の移り変わりとともに、かつて活用したまち中の林や森が手付かずのみどりになってきている。もう一度、まちのみどりを今の生活の中で活かすには?そんな問いからはじまったのが、「森林バンク」の仕組みだ。
今回は、Dear Tree Projectのチームが取材した、つくばのまちの林や森について、その魅力や背景について紹介していきたい。
「あぁ、気のいいいい場所だ。」
この森に入ったときの最初の印象だ。
ここは、筑波山麓の廃校となった小学校の隣に位置し、地域の歴史と自然が共存する場所である。
斜面地には檜が植えられ、左側には杉林が広がる。
過去にボランティアによる下刈りが行われていたが、現在は管理が難しい状況にあるという。
敷地内には石の神様の祠や小川があり、地域のお墓も隣接しているため、地域住民とのつながりも感じられる。
将来的には、廃校の駐車スペースや元体育館を活用し、森林活用の技術研修や宿泊施設、ギャラリーなど多用途な展開が可能かもしれない。
豊かな自然環境と歴史的背景を生かし、地域と協力して再生すれば、新たな交流や学びの場としての価値を発揮できるだろう。
「森は本当に美しい。森だけは、このまちが変化しても残していく資産として守ってほしい」
亡きお父さまが生前よく言っていたことばだという。
住宅地内に位置し、道路を挟んで両側に広がるこの緑地は、お父様の意思を継ぎ「保安林」として街の開発が進む中で守られてきた。
かつては松林として地域の燃料供給を支え、住民の手で維持されてきた歴史がある。
しかし現在では、違法投棄や草木の繁茂が課題となり、一部住民からのクレームを受けてメンテナンスも一苦労だという。
保安林指定により制約があるものの、公園や子どもたちの学びの場など、教育的・社会的意義をもった活動においては活用可能性がある。
地域の歴史と思いを継承しつつ、新たな活用法を模索することで、地域の価値向上にも寄与し得る森だ。
つくば駅から車で10分程度の住宅街を車で走っていると、ふと道沿いにこんもりとした豊かな緑地が現れる。
「あぁ、このまちはこんな豊かな緑の景色で溢れていたんだろうなぁ」とかつての景色が思い起こされるような場所だ。
この森は、ヒノキ林とサクラ、カシ、ナラ、クリなどが混在する雑木林で、フジ蔓も見られる豊かな自然が魅力。
敷地を歩いてみると、地面はほぼ平坦で、林内には心地よい木漏れ日が差し、初冬にはフカフカの落ち葉が林床を覆っている。
敷地内に駐車スペースが約5台分あり、アクセスも良好。
キャンプやツリークライミング、間伐練習など、森林活用のワークショップやアクティビティにも向いており、日常の中でふらりと立ち寄る散歩コースとしても気持ちが良さそうだ。
豊かな森は、地域の歴史や文化を伝え、私たちの日常に癒やしや学びをもたらしてくれる大切な資源である。
しかし、管理の手が届かず、その価値が活かされないまま埋もれている森も少なくない。
かつて人々の暮らしに寄り添い、エネルギーや食を支えた森が、現代の暮らしの中で再び活用されるには、地域と森をつなぐ新たな仕組みづくりが必要だ。
森林活用のワークショップや学びの場、アクティビティの提供はもちろん、地域住民や訪問者が気軽に関われる仕組みがあれば、森は再び活力を取り戻すだろう。
つくば市では、今後こういった森のオープンな活用を展開していく。
今の生活のなかで無理なく、暮らしのとなりにあるみどりを活用していくには、共に未来の森づくりを考え生かしていく仲間を募集していきます。
経済部 鳥獣対策・森林保全室
〒305-8555 つくば市研究学園一丁目1番地1
電話:029-883-1111(代表)
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ストリートで育てたリンゴでシードルを作ったり、地域の管理する市民が自ら植物を育てて花壇を彩ったり、普段歩いているだけでは気づかない、キャットストリートの見えない一面が見えてくる。
地域の植物で、地域の人たちが育てて、共生したり、使ったりする、ローカル・グリーンの循環は、世の中で大声で叫ばれる環境パフォーマンスなんかより、身近で、誰もが関わることができる日常的な行為のように思える。

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つくばのまちの森を繋ぐ「森林バンク」制度
森を活かす、仕組みをつくる
Dear Tree Projectは、つくば市の「森林バンク制度」の実施に向けてつくば市とヒダクマと連携し、森林の利活用促進を支援しました。具体的には、制度の対象となる森林を市民に身近に感じてもらうための情報編集を行い、森林マップを作成しました。これにより、市民が参加しやすく、創造的な森林活用の方法を提案できるようになり、地域の多様な人々の参画を促進することを目指します。今後も行政と共同で、持続可能な森林管理と地域活性化を進めています。